がん検診・健康診断について

Yahoo!ニュース「がん検診の本当の目的とは?知っておくべき過剰診断という弱点」を読んで

2020/01/16

私は18年前に癌を経験し、長い経過観察の中で、社会の中でのがん検診の意味や、私自身にとってのがん検診の意味を考え続けてきました。

その経過の中で肺の小結節を見つけたり、偶然IPMNという膵臓癌が濃厚になるまで何の治療もしないで経過観察をし続けるものも見つけてしまいました。

消化器外科専門医が書いた記事を見て

最近もYahoo!ニュースの記事を見て思ったことがあります。

過剰診断とは、「治療の必要がないがんを見つけてしまう」という意味です。
「がんがあるなら全て治療が必要に決まっているだろう!」と思いましたか?そんなことはありません。
がんの中には、進行が非常に遅く、治療をしなくても命にかかわらないものがあります。
亡くなるその日まで体の中に持ち続け、何も悪さをしないはずのがんを、検診で「見つけてしまう」とどうなるでしょうか?
その人は、本来必要なかったはずの治療を受けることになってしまいます。

中略

タイムマシンでもあれば、その人が「治療した未来」と「治療しなかった未来」を比較すればいいのですが、そういうわけにはいきません。

Yahoo!ニュースIT・科学 12月12日(木)掲載分「がん検診の本当の目的とは? 知っておくべき過剰診断という弱点」を
 著者 山本健人(消化器外科専門医)
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamototakehito/20191212-00153781/

「感想が私にとって」という視点となりますが、申し訳ありません。

これを読んで、心の中でつぶやきました。

「私も、知りたくなかった、癌化を待つまでは治療をしないものを偶然発見されてしまったよ。」

IPMNが過剰診断ということではありません。IPMNをみつけたという事は、早期発見がまれである「膵臓癌」の早期発見チケットを手に入れたことになるのですから。

とくに、もともと膵臓に不安がある、遺伝性の不安がある、という方にとっては健康診断に膵臓エコーなどのオプションをつけてIPMNを発見する為の検査は有益であると思います。

実際、IPMNを見つけてよかった。と言われる方の割合のほうが多いようです。12月16日現在。まだ少ししか回答を得られていませんが、私が呼びかけてアンケートを行っています。)

何かのいい機会だから全身を調べることにした。という方にとってももちろん全ての検査が有益と思いますが、自分が望んだがん検診や人間ドックで、どういう結果が出うるのか。それは少し調べてから検査を受けるのがよいかもしれません。
(私の過去記事→「検査で分かる恐怖と分からない恐怖」でも書いています。)

希望していなくても知らされる

私にとってこのIPMNの発見は、なんの希望もしていなく「偶然」見つかったことと、私の「意思」にやや沿わなかったことがあります。

沿わなかったといっても、別件とはいえ、自身が病院へ出向いて希望して検査を受けているのにの私って自己中ですな~

私が希望しようがせまいが、医師として、見つけてしまったものを言わないわけにはいかないのです。それに、私の為に専門外の病気を「見つけてくれた」のです。それに対しての感謝の気持ちは持っています。

IPMNや膵臓癌にかかわらず、私は、無症状のうちに「がん検診」や「人間ドック」などを受けたいと思うその種類とタイミングがあるのです。

タイミングが合わず、早期発見を逃したとしてもそれは私の自己責任で、それが私が選んだ人生であることをちゃんと納得しているのです。

受けたい種類の検診は、「健康保険適用での治療法がある病気」がわかること

症状も不安もない段階で、健康保険適用の治療法がまだ確立されていない病気は見つけたくありません。

受けたいタイミングは、社会的なターニングポイントに健康不安が重なっているとき

例えば、退職前や転職前と、生命保険の切り替え直前です。過去記事のこれにちょっと書いてます。→「病気で退職を決めたなら、退職日までに、知る事、やる事、お金の事!

無症状の病気がもしわかるのであれば、病名が確定診断される時期の微調整は図りたいのです。

私は乳がんになる前から病気のオンパレードの半生、症状も不安もないときに知りたくはなかった時期でした。その時は、少し、心も休ませてほしかった。癌から少し離れていたい時期でした。

差しあたって治療しない「もどかしいもの」を知ったなら

病気の発見に限らず、もしも、まさかの事態は望まなくても勝手に降りかかるもの。

例えば事故にあっても、私は事故にあいたくなどなかったのに。と言い続けるよりは、それを今後どうするかのほうに力を注ぎ、時には日常からそれを忘れる時間も作ることをしなければならないと思います。

今後山本医師から「偽陽性」についての記事が出されるとのことで、Yahoo!ニュースにまた掲載されたらそれも読んでみたいと思います。

                      

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