病気と生活

がん生存率188病院公表のデータに思う事

2017/12/21

8月9日に、国立がんセンターより、初めて病院別の生存率データが公表されました。私が乳癌治療を受け、今も経過観察をしている病院もこの統計の中に入っていました。「乳がん」においては施設、病院にあまりばらつきはなく、癌の種類の中でも高い生存率を出しています。

単純な数値で単純に評価しないように

単純に目につく数字を病院の評価にしてしまわないよう、患者さんへの配慮が必要ですので、下記の事が様々なところへ注意書きされています。

生存率は、患者さんの年齢、基礎疾患や健康状態、診断当時の病気の進行度等様々な因子に大きく影響されます。よって、特に施設間では高齢者の多い施設、少ない施設、他の病気をもつ患者の多い施設、少ない施設があるため、単純生存率を比較して、その施設の治療の善し悪しを論ずることはできませんので、ご注意いただきつつ、数字を見ていただくよう、お願いします。

国立がん研究センターがん情報サービス
「がん診療連携拠点病院院内がん登録生存率集計」より
http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv.html

私も数字だけに惑わされないように注意してデータを見ました。

高齢者が多い病院は癌治療をしない人の割合も他より多く、癌だけに焦点を当てて5年生存率を病院の治療成績として読み取るには病院にとっても患者にとっても都合よくないと思います。
また、初診時の病期(ステージ)が高い人が集まる病院は治療成績としては低いデータになってしまう事、治療が難しい患者を受け入れる病院ほど低いデータになってしまう事など、さまざまな「分母」があっての結果だと思いました。

膵臓がんのデータについて私の場合

私は、「IPMN」(膵管内乳頭粘液性腫瘍)という、癌に移行しやすいと言われている嚢胞を経過観察しています。

膵臓癌は5年生存率が低いがんというデータになっています。それは膵臓癌が症状に乏しいなどの発見がしにくく、ステージが進んでから発見されるケースが多い事が一つの要因という事をよく聞きます。

IPMN由来のすい臓癌は比較的生存率が高くなっていると医師に聞きました。半年毎に経過観察をしているとステージが進んでから発見されることがほぼなくなります。

IPMNと医師の診断を受けた人は、聞き慣れない病名に検索をして探し回ると思います。そこで必ず膵臓癌のデータを見る事になり、衝撃をうけてしまいます。まったく症状がないにも関わらず。
女性がスマホで検索する様子

データを見る前の心がまえ

「データを見る」という事は、データにはさまざまな背景があり、解釈の仕方があるのだという事、一つのデータだけで思い込まない事をよく意識してから「見る」事が大切だと思いました。

後ろ向きな気持ちで検索した文言は、自然と結果もそういうデータだけを抽出して集めてしまっている事が懸念されます。人間のように、「そんなことないよ」とは言ってくれず、検索した事のみにストレートに結果が表示されたりします。

とくに今は欲しい情報にすぐにたどりつける世の中ですので、偏ったデータの見方をしないよう、事前にこれらの事を念頭においておく必要があると思いました。

                      

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