乳がん治療の記録

子の誕生と同時に乳がん発見と癌告知。

2018/11/14

私は29歳の時、子の誕生と同時に乳癌が発見されました

私の胸に腫瘍があった事は、この日まで、私本人も、助産師さんも全く気がつきませんでした。つい最近、子宮内膜症によるチョコレート嚢腫が癌化していないかどうかを心配していたものが病理検査で良性と分かり、安心していたところです。

まさか、全く無症状の考えもしなかったこの場所へ癌があったなんて思いもしませんでした。妊娠授乳期は乳腺が張っている状態なので触診ではわからないことが多いのです。

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もし、妊娠中に乳癌と診断されたなら、どうなっていたのかな。

その年初めて雪が降った日でした。温暖な土地柄、昼間に雪を見る事はあまりありません。ふわふわした大きな牡丹雪がゆっくりと地面に落ちていくのを飽きることなく陣痛室の窓から見つめ、特別な瞬間を待っていました。

待望の第一子は私に何も心配をかけることなくすぐに理想的な産声をあげました。

それからしばらく経って、腫瘍をみつけたのは熟練の助産師さんです。初めての授乳のとき、助産師さんがマッサージをして母乳の出を促します。顔色が少し曇ります。

「ここに触れる塊があるの分かりますか?」

と言われたけれど、私自身が触っても全く分からなかったです。

翌日乳腺外科で診察を受け、その時、注射針で細胞も採る「穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)」をしました。検査結果は1週間後、退院した翌日ということになります。

数時間後から、針が通ったところが内出血し、母乳に血がまじって子供に飲ませられなくなりました。

ちなみに、乳癌をもった側から出る母乳を飲ませても子供に癌が移るなどの心配はありません。ただ、血の混じる割合が多くなると、味の質が良くなく、それを覚えた乳児は母乳を欲しがらなくなるのです。

もう片側の健康な側で出るだけを授乳し、あとは粉ミルクでまかなう日が続きました。

無症状のうえに、癌検診をマメに受ける年代でもない20代私は、出産をしなければ癌に気づくことはできませんでした。今回その時偶然見つけていただいたのです。

このピッタリのタイミングで子供が生まれなければ、今私は存在していないかもしれない。私は子の誕生と同時に診断されたのだから、それまで精神的にいい状態でいることが出来ました。子供を持つかどうかの選択肢で苦しむことも免れました。

私の子供はコウノトリに乗って病気を知らせに来てくれたのです。

癌告知

退院翌日、検査結果を実母と一緒に細胞診の結果を聞きに行きました。実はどうやら、私が入院中に夫と実母が病院に呼ばれ、一通り聞いていたとのこと。

1.結果は「クラス5」乳がんであること
2.進行度は術後でないと分からないけどステージⅡ以上であることは間違いない
3.手術の為入院する日が1週間後に決まっている

これを聞いた時の心境は、15年経った今でも文章にしたくないくらい受け止めることは出来ません。そこをあえて今文章にしてみます。まず真っ先の感想は、

「どうして今なの?子供の誕生を祝って落ち着いてから知ったのではダメなの?」です。

そして、徐々に病気そのもののショックより、新生児を抱えたこれからの生活の不安が襲いかかってきました。

一方夫や実家の両親は、真っ先に私は、治る治らないの心配をしているのだと、想定して慰めようとしていました。ですが、その精いっぱいに私の為に用意してくれた言葉に対して、あろうことか逆ギレしてしまったのです。

これを読んでいるあなたなら、自身も精神的に折れそうになりながら必死に病気の家族に言葉をかけた挙句にこう言われたら、どう思いますか?

私は、言ってしまったんです。しかも女性とは思えないような酷い言葉でです。文章にしたくないというか、違う意味でやっぱり文章に出来ないです。ずっと寝ておらず、風貌も形相も酷かったから、あの時の私は本当に目も当てられなかったと思います。
rakurai
コウノトリに乗って知らせに来てくれた子供に本当に申し訳ない、そしてこの時に折れなかった家族に申し訳ないし、本当にありがたかった。

それから15年、癌告知のショックとは、家族を私の言葉によってもっとショックにさせたことと脳内に記録されています。

手術入院に至るまで

2週間を予定する入院中は夫と母親は仕事を交互に休み、親戚の手助けのもと、みんなが新生児の世話をすることになりました。こんなにもけしからん思考の私を周りが助けてくれました。

しかし、治療は手術だけで終わらない、その先の治療中に子供の世話はどうするのかは何も決られず入院の日を迎えることとなります。

そんな入院待ちをしている私たち母子にまた大きなひと騒動。子供のほうにも腫瘍が発見されました。真っ先に思いました。

まさか、子供に胎盤を通して癌が転移したりなんてしないよね…

                      

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