メンタル

全身麻酔回復からの自発呼吸を拒んだ私

これは、夢だったのかどうか、いまいちわからない部分がありますが、自分の中での記憶を書きたいと思います。

私は何回か全身麻酔の手術経験がありますが、乳がんの手術の全身麻酔から回復する際、わざと自発呼吸をしようとしなかったことがあります。

なぜそんな気分になったのか?

私はなかなか寝付けないタイプで、毎日睡眠時間が短い傾向にあります。朝目覚ましが鳴った時の絶望感は、起きたくないが為に今息絶えたい。別に特別な悩みなどなくてもです。起きる瞬間は正気ではないのです。

その日がどんなに待ち遠しかった予定が入っていても、目が覚めた瞬間は行きたくない、生きたくないのです。起き上がってからはコロリと通常運転を出来るのですが、今もずっと起きるまでの数十秒~数分は毎日戦っています。

私は出産直後に乳がんが分かったので、新生児の世話をしながら極端に寝てない状態でがん告知。入院中も、これからの治療中も新生児を預けるところに困り果てた状態で入院し、天変地異の青天霹靂、何が何だか意味不明の状態で全身麻酔に落ちました。

そして現実逃避から一気に超過酷なもとの世界に目覚めさせられました。

有刺鉄線に手をかける

acworksさんによる写真ACからの写真

 

手術終了後の様子

(これが、現実かどうか、自信がないのですが、記憶の中ではこうだったと思います。)

麻酔科医か、看護師かが私を呼び、肩をポンポンと叩いています。

「みち子さん、みち子さん、わかりますか?ゆっくりでいいから息を吸ってみてくださ~い。」

今まで何回かした全身麻酔の手術後と同じ光景です。今まではここですぐに状況の把握、医師や看護師の指示にしたがい、自発呼吸も出来ていました。

ですが、今回、次第にはっきりとしてくる意識の中で、呼吸をしていなくても、苦しくないことに気が付きました。なにか気管に管が入っていたかどうかは覚えていません。

今なら苦しくなく永遠に息を止めれるチャンスだと悪魔がささやき、苦しくないことに甘え、わざと息をすることをしませんでした。

「みち子さん?みち子さん?きこえてるよね?息を吸ってください」(何回か繰り返す)

医師が肩をたたく力も少し強めになりました。

聞こえているけど私は息を吸いません。

ちょっと回復室が騒がしくなります。

「覚めてるんですけどね、自分で呼吸しなくて…」というたぐいの会話のやり取りが聞こえます。

途端に、気管に何かがゴボゴボと通り、おぼれたような、窒息しているけど意識が飛ばないような、地獄の苦しみを味わうことになりました。なにか処置をされたようです。酸素を直接肺に送り込んだのか、人工呼吸器だったのか、どんな処置だったのかは全く分かりません。

その苦しさから逃れるために慌てて自発呼吸をしようとする私。医師はそれを確認したら気管に送り込まれているものを抜きました。それからは特に特別なことはなく、病室へもどって、予定通りの経過をたどっていきました。

手術に万全を尽くしてくださった医師、生まれたばかりの新生児の息子には大変申し訳ないと思いました。

卵巣腫瘍の手術前は寝ぼけて会話

乳癌手術より前にした、卵巣腫瘍の手術の時も全身麻酔をしました。手術室に入る前に、ナースステーション内でストレッチャーに乗り、軽い安定剤(だと思う)の点滴が入りました。その時点では家族がそばにいてもいいとの事で、主人が側におりました。

私は、安定剤が入ったとたん、おかしなことを言いだしたそうです。

「うちはものすごい貧乏なんです。歯ブラシが買えないんです。看護師さん、100円めぐんでください。」

もちろん、裕福ではないけれど、歯ブラシが買えないほどではありませんでした。主人は大変恥ずかしい思いをしたそうです。私は全く記憶がありません。

そして、手術が終わって、麻酔から醒めた時、夫が言いました。

「食べれるようになったときの為になにか買ってここにおいとくけど、何か食べたいもんある?」

私は、こう言ったそうです。

「お金が食べたい」

私は金の亡者のようです。そういえば、ひいおばあちゃんがこんな事言いながら亡くなったような・・・私の晩年が思い知らされます。

                      

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