癌の家族との接し方
2017/04/29
病院の待合室に必ず冊子が置いてあります。「ご家族の方へ」みたいな冊子。そこには、本人、家族自身の体や心のケアを相談できるところが記載されています。
現代はネットに乗っていない情報などなく、自分にあった情報を抽出出来ます。患者自身のコミュニティーも家族の立場のコミュニティーも豊富にあります。
家族は第二の患者といいますが、精神的には患者も家族も最前線の患者であると思います。
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私も、癌になった立場から、ちょっとだけ綴りたいと思います。
告知から間もなき頃は、その日その日、「一番心配な事」「最優先に望むこと」が大きくブレまくります。
例えば
・治療中の子供の世話(親の介護)の心配を一緒に考えてほしい
・私よりも、子供の将来を考えてほしい
・私の事を考えてほしい
・命が最優先、どんな治療でもうける
・生活の質が大事。できれば女として乳房・髪の毛を失いたくない
・治療費と生活費どうしよう?
・なんで私だけがこんな目に合うの?
などなど、
日々変わる患者さんの「心配に添う」というスタンスでいいと思います。実は全く予想しないような心配もしていることも多いでしょう。
いろんな心配を一緒に調べてほしい。私はそうでした。
おそらく、患者さんの困りごとに即答出来る事って、ほぼ無いです。避けたほうがよい受けごたえ(過剰な励ましや、発言の遮り)をしないようにしていると、頷くことしかできないかもしれません。ですが、聞いてくれるだけで、言葉にすることだけで少し楽になっています。
もし、受けごたえに困ったら、返答できない(用意してない)なら一緒に考える調べる、決まっているならそれを堂々と言ってあげればいいと思います。家族の誰かがこういう状況になったら、こうするつもりだった。大人なんだからいつも想定をして生活していたんだ(行こうと今思った)と言ってあげればとても安堵します。
タブーにしないで
どの進行度に患者が属しようとも「死」に関係する悩みの吐露を縁起でもないこと、弱気な発言と遮り続けられることが一番辛いです。
今や、癌であることそのもの、生存率、再発率などを医師から本人に包み隠さず突き付けられ伝えられる世の中です。自分でも容易に調べられます。
知らされたからこそ、それに対しての発言をしたのにも関わらず、縁起でもないこと、弱気な発言ととらえられ、遮られることはとても辛いものです。患者は一方的に突き付けられて、自分一人ですべてを受け止めなければいけないと思い込むかもしれません。
医療従事者、心に関する学問等に携わったことのない人にとっては、家族として「辛いこと」の受けごたえなど、上手にできません、聞きたくないというのが本音かもしれません。
その場では「不安に添う」ことしか出来ないと思います。あくまで私の場合でですが、「タブー」にされるよりは、「わからない」と言われる方が幾分かいいと思います。
もともと、誰もが想定していたこと
家族全員が老衰の直前まで健康でいることが難しい事は誰しも感じていることで、自分が添う側、添われる側どっちの立場になるかという想像も、日々若い時から考えはしたと思います。私の家族は、随分早かったが、その時が来たんだと思ったそうです。
ご家族の方自身のケアを忘れないで
大切な人が癌になってしまった事自体ですでに傷ついているでしょう。その傷を丸出しにせず患者さんに寄り添い、それまでの役割の代役を担う方の消耗は計り知れないことと思います。
自分自身の相談も誰かにして、必要なら診察を受けてください。眠ることは、(お金を払ってでも)時間を作ってでもしてください、可能であれば、少し癌から離れる時間も作ってください。大事な人の為に。